武中製菓(株)武保あられさん
初めまして、京都府のギフト運営サポートをしている金崎です。今回から京都府のギフトに出品してくださっている作り手さん一人一人にお話を伺った取材記事を掲載していきます。
初めてのことで至らない点も多々ありますが、作り手さんの思いを皆さんにお伝えするべく努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、武保あられの創業者を祖父に持つ、武中俊樹さんにお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
武保あられ3代目の武中俊樹さん
—まず私の素朴な疑問なのですが、そもそもあられとおかきの違いは何でしょうか?
「明確は定義というものはないのですが、あられは小粒なもので、空から降ってくるあられ、みぞれのようなイメージ。おかきはもうちょっと幅があり、ゴツゴツしたイメージですね。さらに言うと、語源として“かく”というのはお正月などに食べるお餅が固まった時に、砕いて食べていたそうなんです。それが、歴史が続く中でおかきという名で親しまれるようになったとか。」
店頭には、常時約10種類のあられが並ぶ
—そうなんですね、疑問が解消しました。ありがとうございます(笑)
では早速、今回ギフトで紹介している商品についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
「はい、今回紹介している商品は、地元のギフトさん用に特別にお得に詰め合わせているものですね。おすすめの種類から少しづつ、いろいろな味を詰めあわせています。この地元のギフトって、例えば贈り物だったり、結婚式の引き出物として利用されると思うんですけど、利用される方も京都出身の方が多いと思うんですね。贈られた方がそれをきっかけに手にとってもらって、さらに京都のことを知ってもらえればというのが一番です。ギフトを通じて地元の思いを発信できればなと。」
通常商品に加え、お手軽な小袋サイズも
—実は今年創業60年を迎えられる武保あられさん、ズバリそのこだわりを教えてください。
「良い意味で変わらず、不変性を持ったクラシックなあられでありたい。今まで使ってきたもち米、お塩も変えずに作っていきたいと思っています。原材料となるもち米は、おじいちゃんの時代からずっとJA佐賀のものを使用しています。もち米を特化して製造して、全国に発信してはるんですが、その段階で、より品質を保った形で精米する技術というのがありますね。そこまで、安定して供給できるところって少ないんですよね。保管状態が良くないと食味が落ちたり、虫食いもあったりするのですが、JA佐賀さんには、確実に品質良いものを安定供給できる、そういう力もあるので。創業60年で、当初からJA佐賀さんとはお付き合いを続けさせていただいているのでそこのつながりというのは変わらずに、大切にしたい部分ですね。」
—なるほど、お店としてだけでなく、関わる方々とのつながりも大事にされているのですね。武保あられさんのこれからの在り方についても、お伺いしてもよろしいでしょうか?
「うちは京都府でも一番というくらい小さい規模で経営して、製造に従業員も雇わず家族で続けてきているので、スーパーなどに卸したり、そういうことはせずに規模感も変わらず、お店に足を運んでくださるお客様を大切にしたいですね。京都の人向けにというか懐かしさを覚えるような。他のあられやさんだと、あられにチョコをかけたり洋風な味つけをしたり、変わりダネを出したりするところもあるんですが、今までも、これからもバリエーションはそのまま、それも武保あられのこだわりというか特徴ですね。お客様の年齢層は高いのですが、昔から買ってくださるおじいちゃんおばあちゃんが、頻繁でなくとも月に一回、年に一回でも買いにきてくださる。そういうお客様が必要としてくださる限り、地元に寄り添ってニーズに応えていきたいです。」
西七条にお店を構える武保あられさん
—京都で洋風なカフェや洋菓子店も人気を博している中、若者があられに触れる機会というのも減っていますよね?
「そうですね、やはりそこは意識しています。なので *Take a nap Crackers という若者世代に身近になるような、新しいラインのあられを作っています。
*Take a nap Crackers…
武中さんが東京での就職から京都に戻ったのち、三代の歴史を持つ武保あられの製法を生かしつつも、俊樹さん独自のこだわりで新しく展開したあられブランド。
シンプルな醤油味のあられから、お酒やワインにも合うような、柚子や山椒味のあられなどを製造している。現在はマルシェ出品やオンラインなどを通じて販売している。
take a napと言うのが、気持ちが緩むようなという意味なんですが、忙しい中でもこのあられを食べていただいてホッと一息つけるような、そんな時間を提供できればと。実はこちらに、地元のギフトでも紹介している八木商店さんのお米を使用させていただいています。京都のローカルさを大切にして、実は原料も全て地元のものを使ったり味にもこだわっているんです(笑)」
—可愛らしい見た目の中にも、すごくこだわりがあるんですね!
「はい、若い世代の人が、「これだったら買ってもいいかな」と思うような可愛らしいパッケージにしているんです。(笑)なので、自分が関わっているあられ造りとしての若返りというのは、これで図っていますね。このTake a nap Crackersというのは、社長に相談とかはせず完全に自分で進めているものなので、武保あられとコンセプトも全く別物ですし、そこは屋号を分けて、やるべきだと考えています。」
—では最後に、俊樹さんの武保あられ、またあられ作りにかける思いを教えてください。
「前までは、家業につく=継ぐだと思っていたんです。でも絶対にこのお店を継がなきゃというような使命感というか、気負いはないですね。今できることとして、独立できるくらいのことはしておきたいなと思っていますが。武保あられに足を運んでくださるお客様がいる限りもちろん続けていきますが、実際このクラシックなあられが、どこいつまで受け入れられるのか。また何10年後にあられが必要とされているのかは分からないので、その時の判断でそこは自分たちが進化しながら、時代に合わせながら、と思いますね。」
*武中俊樹さんご自身については、下記の記事をご覧になってください。
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